南禅寺だより―ノンフィクション作家 柳原和子さんの公式ホームページです―

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がんを生き抜く実践プログラム〜NHKガンサポートキャンペーン
柳原和子 養生ごはん 画像クリックでamasonへ 養生ごはん スタッフ

 この本は、NHKテレビの「がんサポートキャンペーン」と同時にすすめられたものです。自分や家族、友人などががんになった時に役に立てるような実践的なガイドブックとして、また、医師に言われるままに「お願いします」と頭を下げて治療を受けるだけではない、患者主体の治療選択や生き方を考えるときの参考になればという視点から編集されました。

 告知から治療中のあれこれ、寛解後や再発後、その時々の暮らしに至るまでを時系列的に章立てし、そこで起こるであろう問題や葛藤をできるだけすくえるように、それぞれについて、先輩患者やその家族、医療スタッフなど、がんにかかわりながら生きている人たちの生の声を日本全国から集めました。とくに患者側から発信された情報は、体験談としてできるだけその人の言葉で掲載しています。

 柳原和子さんは、そうした先輩患者の一人として、各章のテーマに沿って自分の経験を通して語れること、思ってきたことを、詳細に具体的に書き下ろしてくれました。 また、スタッフの一人として、構成や取材・編集スタンス、原稿内容等、何度も打合せを重ねました。原稿もたくさん書き直しました。

 そんなこんなで予定よりも長くかかった編集時、並行して自らの治療を続けていたので、刻々と状況が変わっていく彼女の思いが、あるいは過去のことを書いている彼女の原稿にも反映されているかもしれません。依頼した文字数よりも大幅に伸びた原稿が届きました。本を手にした人なら、開けばすぐに「ここ、文字数が他にくらべて多いなあ」と思うページが見つかるのではないでしょうか。

 ひとつのがんに絞ることなく、また、告知から緩和ケアまでを扱った、欲張りな本です。一人の人が最初から最後まで読み通すような本ではないかもしれません。そのかわり、気になるところを読むだけで少し安心できたり、解決できなくても考えるきっかけになったり、抗がん剤の副作用対策や代替医療の選択のヒントになったり、同じ思いをした体験者の言葉に励まされたり……といった、その人それぞれの使い方ができるのではないかと思います。

編集担当:篠原麻子(フリー編集者)